2012/6/17
プロローグ(序章)としての玄関アプローチ
私たちの設計する住宅の玄関アプローチは、重要な役割を持っています。
アプローチから玄関へ、玄関からリビングルームへ、そしてダイニングなど
人の動線に合わせてシーンが変化します。
そのシーンの変化に、私たちはストーリー性を持たせているのですが
そのプロローグ(序章)として玄関アプローチは位置づけられています。
お施主様がどのような方で、この家はどのようなコンセプトでデザインされたのか、
玄関アプローチはいろいろなことを、私たちに語りかけてくれます。
私たちがデザインした住宅について、ご説明したいと思います。
indigo chocolat N博士の家
左の住宅は、このファサードを見ただけでも自然を意識したデザインになっていることがわかります。
正面の壁は板張りになっているため、大きさの割には、やさしいイメージが伝わってきます。
そこにつけられた、玄関扉は訪れる方に、開けた瞬間、どのような空間があるか期待させてくれます。
右の住宅は、八王子に建てられたものですが、玄関扉を開けるまでに石の階段を上がることになります。
格式を持たせたキャノピー状のアプローチは、
きれいに片づけられ、きちんとしたお住まいの方の生活をイメージさせます。
そして、訪れる人に心地よい緊張感を与えてくれます。
Bali Japan かなめ眼科クリニック
左の住宅は、真っ黒な外観なのですが、アプローチの部分だけは白い左官壁になっています。
玄関前の屋根はガラス張りになっており、上から光が差し込み、とても明るくなっています。
明るく光に満ちた、南国のような内部の様子を暗示しています。
右は診療所の玄関アプローチです。
「少しでも心地よい空間で診療を受けていただけるように」と、お考えの先生の気持が伝わってきます。
SSMY SAKURA HOUSE
左の住宅は、玄関アプローチがサンルームになっています。
外の喧騒から、一歩家に足を踏み入れると、気分を変えてリラックスできるように考えられています。
右の住宅は、アプローチがスロープになっています。
スロープを歩きながら、右側に植えられた植物を見ながら玄関に向かいます。
ユニバーサルデザインになっていて、年をとってからも楽しめる住宅になっていることがわかります。
E邸
この住宅は、レンガ貼りのアプローチが印象的です。ヨーロッパの街の一画のようです。
力強いイメージになっていますが、レンガの素材感と木製のサッシから、住まわれる方の自然を
愛する気持ちが伝わります。
どのような自然素材が使われた、どんな空間があるのか興味をそそられます。
牧草地に建つ家
農村部に建つこの家は、やさしい色使いのアプローチになっています。
仲の良い、温かなファミリーを容易に想像できます。
このように玄関のアプローチは、訪れる人にいろいろなことを物語っています。
デザインするうえで、設計コンセプトがもっとも表現される場所ともいえます。