私たちが手がける建物の中で、
木造では、枠組壁工法(通称ツーバイフォー)が多くをしめています。
柱や梁を露出せずに最大60㎡(36帖)の大空間をつくれることに加え、
構造上の安全性が論理的に確認できる魅力があるからです。
今年7月16日に発生した新潟県中越沖地震は、
想定外の揺れにより柏崎刈羽原子力発電所を
全面停止に追い込むほどの被害を発生させました。
想定できないのが地震だと考えますと、
より安全な構造をと考えるのが当然です。
一般的に見て、木製軸組工法(在来工法)よりも、
枠組壁工法(ツーバイフォー)の方が安全であると、私たちは考えています。
在来工法とツーバイフォーの構造
柱と梁、そして筋違い(すじかい)により構成される在来工法(木製軸組工法)と異なり、
枠組壁工法は、木製の壁パネルを作り組み立てていく工法です。
在来工法がマッチ棒で作られた箱としますと、
四方がボール紙でできた箱のような構造体がツーバイフォーです。
(朝日新聞より)
地震に対する強さ
マグニチュード7.2、震度7の阪神淡路大震災では、
ツーバイフォー住宅約8000棟のうち、全壊はゼロ、地盤液状化による半壊が2棟、
また、内部の床のねじれ、不陸の発生した建物は16棟あるものの、
そのままの居住に支障がない状態でした。
(日本ツーバイフォー建築協会 震災被害程度調査報告による)
これは、地震力が建物に加わっても、
構造の一箇所に力が集中しないため、強いからです。
また、施工面からも、枠組壁工法では構造材や釘、金物のサイズ、
施工方法・使用箇所について、細かく規定されています。
そのため、まじめな施工業者であれば、規定に忠実に施工することで、
安定した構造強度が得られることになります。
火災に対する安全性
損害保険各社は、在来工法より焼損する可能性が低いとして、
割安な保険料を設定しています。
ある大手損保会社では、東京墨田区などではツーバイフォー住宅の保険料は
在来工法の木造(木製サイディング張り)の建物が36,600円なのに対して
17,600円と半分以下になっています。(平成18年12月10朝日新聞記事から)
なぜかと言うと、壁や床の両側に合板と石膏ボードが張られているため
『ファイヤーストップ構造』になり、空気の流れを遮断し、
火が燃え広がるのを食い止めます。
また、床や壁の内部は床根太、枠組材などが一定間隔で組まれているため、
防火上の区画がいつも作られている構造にり、火災の進行が遅く、
初期消火の可能性が高くなります。
建物のデザイン性
枠組壁工法は壁を多く作らなければいけないため、
設計の自由度がないと言う話をたまに耳にしますが、
耐力壁をバランスよく配置し、窓の開口部は一定のルールに基づいていれば
自由度を阻害する要因にはならないと思います。
具体的には一箇所の開口部の幅が4mまで、
構造区画の1壁面にあけられる開口幅は3/4までです。
私たちは、壁量の多いツーバイフォーならでは特徴を利用し、
建物のファザードに重厚感を持たせています。