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麦工房ブログ

ポストモダニズムは、モダニズムに対する新たなデザインとして
1980年代に流行った建築様式です。

私たちは、この手法を設計に採り入れています。

まず「モダニズムのデザイン」とは

「レス・イズ・モア(より少ないことは、より良いことだ)」で表現されように、
地域性や、装飾などを削ぎ落とした末に残ったピュアなもの(ミニマリズム)
の美意識にもとづいています。

今日、住宅雑誌に掲載される建物やメーカー住宅が、全部同じに見えてしまうのは、
このモダニズムのデザインが一般住宅に浸透したためとも考えられます。

しかし、モダニズムには問題点があります。
それぞれの建物が本来持つべき個性(アイデンティティー)を失い、
どこにでもある、画一化されたデザインになる危険性があるのです。

それでは「ポストモダニズムのデザイン」とは

これに対して、ポストモダニズムは
「レス・イズ・ボア(より少ないことは、より退屈なことだ)」という言葉で、
表現されます。

もっとデザインの要素を増やし、より贅沢な空間をつくることです。

モダニズムでタブーとされてきた
「歴史性」「地域性」や「装飾性」などの表現が復権され、
すでにあった優れたデザインの「引用」、「転写」、「反転」などにより、
表情の無い建物を、より親しみのあるデザインにするということです。

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チャールズ・ムーア設計「イタリア広場」


麦工房のポストモダニズムデザイン


麦工房では、世の中に1人として同じ人はいないし、
家族構成、職業、ライフスタイル、趣味、生きがい、
育った環境、過去の記憶など、十人十色と考えています。


そして、クライアントに応じて建物のデザインも異なります。
人生のかなりの時間を過ごす建物にあっては、
クライアントに本当にフィットしているのが理想です。

玄関から出てきたクライアントの印象と、
建物とイメージが一致している状況です。


また、建物の建設地も、全て条件が異なります。
画一な形や間取りは、とても不自然です。


個性的な空間づくりをする場合、
ポストモダニズムは有効な方法です。


ポストモダニズムの住宅


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ハウス・マジンガーの外観


麦工房でデザインしたハウス・マジンガーでは、前橋市のシンボル的な建物、
群馬県民会館(岡田新一設計)を連想させるようなデザインと
かつてアニメに登場した巨大ロボットの頭部が隠喩として採用されています。

これは、その地域らしさの一つの表現ですし、
また、子供のころに多くの人が親しんだアニメのイメージもあり、
どこか懐かしさを覚えます。

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群馬県民会館


麦工房では設計の過程で
クライアントの育った環境、忘れられない思い出、好きな映画や小説、
好きな色、趣味や日常生活etc.などさまざまな要素から

クライアントの個性(アイデンティティー)を明確にし、
設計に活かしています。

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そのような過程をとおして、
ハウス・マジンガーでは、アメリカの商業建築を連想させる
黒とダークブラウンのストライプの外壁、


ボストンのイザベラ・ステュワート・ガードナー美術館の
中庭を連想させるエントランス、


群馬県の温泉旅館を連想させる浴室や、
麦工房の内部空間など、

いろいろなデザイン要素を採用し、美しく構成しなおすことで、
思いもかけない空間的な質と造形的な魅力が
つくり出されています。

イザベラ・ステュワート・ガードナー美術館

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ハウス・マジンガーのエントランスホール



ポストモダニズムのレストラン


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フレンチレストランのためのインテリアデザインを
ポストモダニズムで行ったものです。


残念ながら、資金的な問題から中断していますが、
ヨーロッパで11世紀に流行ったロマネスク様式の建物を
レスタウロ(再利用)したような内部空間です。


クライアントの求める家庭的な温かみのある料理には
完全な様式建築ではなく、庶民が修繕を加え使用してきたような
長い歴史が感じられるインテリアが合っていました。


壁の中に塗りこめられた半円アーチや、
レンガ積みのワイン倉を連想させる個室、
2階のロフト(実際は無い)へと続く階段
歴史的な隠喩を行うことで
この店にとって最適な空間を提案しています。

モダニズムを素材にしたポストモダニズム

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バウハウスは、モダニズムの誕生に
大きな役割を果たしました。

このバウハウスの建物自体をイメージさせることも
ポストモダニズムでは可能です。

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麦工房でデザインしましたこの美容院は
看板の設置場所や、外観など、
ミニマリズムの要素をバウハウスから引用しています。

美容院といった一般のお店が、
歴史的な重みを付帯できた例です。