2007/1/10
(5)天国?地獄?イタリア家庭料理との対決
イタリア人のお宅に食事に何回か呼ばれたことがある。
家庭料理を味わえるのはこういう時だけ。
とにかく、彼等は、よく飲み、よく食べ、よく喋る。
はじめに食前酒を飲みながら、おつまみを食べ、食事の支度ができると
食堂に集まる。
まず、アンティパスト(前菜)を食す。
例えばハム類であったり、トーストにサーモンを乗せたものであったりする。
それらで軽く食欲を目覚めさせる。
次には、プリモ・ピアット(第一皿)のパスタ類である。
レストランで食べる味とはちょっとちがうマンマ(お袋)の味だ。
断然、美味しい。量も食え食え調子。
「最高の味は、やっぱりこれだ!」と
腹鼓を叩いていると、「セコンド・ピアット」がはじまる。
これからが本番。普通の日本人だったら、ここで参ってしまう。
しかし、私たち夫婦はへこたれない。肉・肉・肉…のオンパレード!
オーブンで調理され、テーブルにどっかり置かれた牛肉のもも、
舌、側頭部、豚のソーセージ等々…、それぞれ1キログラムぐらいの塊だ。
それらは電気鋸のようなナイフでザクザクと切り刻まれる。
「イタリア人は、自分で肉の固まりを切らないと欲求不満になる」と
聞いたことがある。
目の前でビーンと、鋸の音が響き、
各自の皿には肉片が、皿の底が見えないくらい盛り付けられる。
やっとの思いでそれを平らげると、また親切に次々と足してくれる。
優しい夫人がまるで鬼のように見えてくる。
「もう十分です」と言っても、これでもか、これでもかの“お食べ”地獄!
美味しい料理も何時しかまずいものに感じてくる。
ようやくセコンド・ピアットが終わりほっとしていると、チーズ、ケーキ、果物、
まだまだ出てくる。
ただ、もどすのを我慢するだけで精一杯。
とにかく私たちが一番驚いたことは、肉の量が日本人の食べる量とは
比較にならないほど多いということ。
それから野菜をあまり食べないということだ。
こちらのレストランで出された料理が少なかったら、
その店は、日本人の食の細いことを知っている証だ。