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麦工房ブログ

イタリア人のお宅に食事に何回か呼ばれたことがある。

家庭料理を味わえるのはこういう時だけ。
とにかく、彼等は、よく飲み、よく食べ、よく喋る。

はじめに食前酒を飲みながら、おつまみを食べ、食事の支度ができると
食堂に集まる。

まず、アンティパスト(前菜)を食す。
例えばハム類であったり、トーストにサーモンを乗せたものであったりする。
それらで軽く食欲を目覚めさせる。

次には、プリモ・ピアット(第一皿)のパスタ類である。
レストランで食べる味とはちょっとちがうマンマ(お袋)の味だ。
断然、美味しい。量も食え食え調子。
「最高の味は、やっぱりこれだ!」と
腹鼓を叩いていると、「セコンド・ピアット」がはじまる。

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これからが本番。普通の日本人だったら、ここで参ってしまう。
しかし、私たち夫婦はへこたれない。肉・肉・肉…のオンパレード!
オーブンで調理され、テーブルにどっかり置かれた牛肉のもも、
舌、側頭部、豚のソーセージ等々…、それぞれ1キログラムぐらいの塊だ。
それらは電気鋸のようなナイフでザクザクと切り刻まれる。

「イタリア人は、自分で肉の固まりを切らないと欲求不満になる」と
聞いたことがある。

目の前でビーンと、鋸の音が響き、
各自の皿には肉片が、皿の底が見えないくらい盛り付けられる。

やっとの思いでそれを平らげると、また親切に次々と足してくれる。
優しい夫人がまるで鬼のように見えてくる。
「もう十分です」と言っても、これでもか、これでもかの“お食べ”地獄!
美味しい料理も何時しかまずいものに感じてくる。

ようやくセコンド・ピアットが終わりほっとしていると、チーズ、ケーキ、果物、
まだまだ出てくる。
ただ、もどすのを我慢するだけで精一杯。

とにかく私たちが一番驚いたことは、肉の量が日本人の食べる量とは
比較にならないほど多いということ。
それから野菜をあまり食べないということだ。

こちらのレストランで出された料理が少なかったら、
その店は、日本人の食の細いことを知っている証だ。