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麦工房ブログ

ご主人からのお言葉

身の回りの「モノたち」は益々ハイテク化し、オートマティック・ノーメンテになりつつあり、
生活は日々便利になっていく。

一方で、モーターサイクルやカメラ、靴に至るまでハイテクが導入される直前の
「ドウグたち(またその当時からの手法を忠実に守ってつくられる「ドウグたち」も含まれる)」は、
アナログであり、デザインやその機能が頂点に達したとき、
そうした「ドウグたち」は見ているだけでも美しくなる。

また、機能やその理屈などを知るに至っては感嘆する他はない。

そして、何か親近感を感じるのも否めない。

使い込むことによって「ドウグたち」と、自分が近づいていく感じ、
日頃のメンテナンスや、時には故障でドキドキさせられる感覚。

また、機能そのものが人間の持つそれとどこか相通じるところがある。
そうした「モノたち」の持つ要素がそうさせるのかもしれない。

わたしたちは漠然と「家」もそのような「ドウグたち」と同じものという意識の中で、
長岡夫妻と会話してきたのかもしれない。

そして大切な靴にシュークリームを塗り込むように
塗装に汗を流したような印象が残っている。

注 「ドウグたち」を擬人化して過剰に傾倒することは健康に良くありません。


奥様からのお言葉

私たちのライフスタイル

もともと私達夫婦は(自分達なりの)曲げられないポリシーのようなものがありました。

それを外に発信し、主張することに対しては二人ともあまり得意ではありませんが、
内に秘めているものは他人に負けない位持っているのではないかと思います。
自分で言うのも変ですけど。

結婚前の二人の遊び方といえば、
いわゆる遊園地やテーマパークの類には一度も足を運んだことはありません。
することと言えば、温泉に入るために山道を何時間も歩く。
コーヒーを沸かして飲むために美味い水を求めて険しい岩場を登る…等々、
そういった行動を共にすることで充実感を得ていました。

結婚生活に入り、「靴箱が欲しい」「陶芸の作品を飾る棚が欲しい」と私が言うと、
夫はインテリアショップに行くのではなく、私を連れ利根川河川敷に行き、
そこで流木を収集し、その流木で私がせがんだものを作成します。
これが意外と味のあるものが出来上がってしまうのです。

そういえば結婚生活に入る直前のことですが、いろいろと生活必需品を揃えていた時、
夫が「食器は自分で作ってみては?」と私に提案。
以前から陶芸を学びたいと言っていた私でしたから、その気になって教室に通い出しました。
現在我が家の食卓を飾る器(大したものではありませんが)は殆どが自分で作成したものです。
 
そうかと言って、私達は決して現代離れした生活を送っている訳ではありません。
流行の映画も音楽もチェックしますし、服装など身の回りのものにもこだわります。
インテリアや生活雑貨店などを見て回ることは大好き。
現在は少しでも安価でそれらを購入すべくインターネットオークションに夢中。
そんな今時の若者なのです。

ただし、
「質の良いものを購入して、大切に手入れし、長く使用すること」「リサイクルすること」など、
ドイツ人に似た精神を持ち合わせていること(特に夫が)を付け加えておきますが。


私たちの家づくり

自分達の家づくりを意識し始めたとき、
お互い考えていたことは共通していて
「既存のメーカーには頼らず、自分達が住みたい家を、建築士と共に創り出したい」
高級な建物ということではなく、
「環境にも自分達にも優しく、長く住み続けられ、その空間にいるだけで楽しいこと」
そういった想いがありました。

そんな私達が今回設計を依頼した長岡さんご夫妻と出会ったことは、
非常に運命に近いもの感じてしまいます。
出会うべくして出会ったという感じ。
ご夫妻は私達の感性や内に秘めている想いを十二分に引き出してくださる方達なのです。

ご夫妻が提案してくださるとおり、自分達が出来る範囲の施工(塗装等)は自分達で行い、
勿論前述したとおりの私達ですから、そういった作業を楽しく嬉々として行いました。

またそうすることで建物に対する愛着が倍増することに喜びを感じ、それがまた嬉しい!
ご夫妻は「何事もやるからには楽しまなくちゃ」という精神を私達に植え付け、
鍛えてくださいました。

今、その精神を基に着実に家造りが進行し、間もなく引き渡しを迎えようとしています。
この家造りを機に、「施主を成長させる設計事務所(!?)」と出会えたこと、
自分達も加わり共同で作業することの楽しさを知ったこと、
自分達の未知の分野を面白がって学ぶ必要性、等々、
数えあげたらキリがないくらいの経験を得ることができました。

自分達が抱くポリシーを自分達自身で良い方向に導くことの大切さ、楽しさ。
このことを忘れずに、また、オリジナルデザインの家・それが建ち上がるまでの
充実したプロセスを手に入れたことを大いに自慢したい気持ちを抑えつつ(笑)、
これからも「私達らしさ」を模索し発見し続ける生活を送っていきたいと考えています。


作品集:INDIGO CHOCOLAT