M家2世帯住宅(2011年07月)
M家2世帯住宅
群馬県前橋市
竣工:2011年7月
床面積:189.62平方メートル
構造・階数:木造(枠組壁工法)2階建
両親とお子さん夫婦それぞれの好きなデザインが融合した2世帯住宅
前橋市郊外の農村に建てられたこの住宅は、ご両親と息子さんご夫婦の2世帯住宅です。
息子さんご夫婦がデザインスタジオ麦工房に初めていらした時、
ご両親は和風住宅を望まれていて、息子さんご夫婦はモダンなデザインを好まれていることをお伺いしました。
そして私たちに与えられたテーマは和と洋の融合を図ることでした。
平成21年の年末からご両親と息子さんご夫婦の考えやこだわりなど個々にヒアリングし、
お互いの共通点や相違点を明確にすることから始まりました。
平行して、敷地内の建物や井戸など有効活用できる要素も明確にしていきました。
「外観は瓦・左官・木・石などの素材を利用した農村景観に調和した外観、
ご両親の住まう1階と息子さん夫婦の住まう2階はそれぞれの好みに応じたデザインにすること」が
基本的なデザインコンセプトになり、その後毎週のように打合せを行い、デザインを進めてきました。
また、計画の過程では家相も重視されました。
この建物は、地震に強い木造枠組壁工法でつくられていますが、建物の外壁には柱・梁型が取り付けられています。
西欧ではハーフティンバーといわれ、洋風の建物にも使われるデザインです。
養蚕農家住宅の屋根の特徴である越屋根(屋根の上にのった小さな屋根)も周辺環境との調和を考慮して設けられました。
これは、2階サンルームの夏季の換気用に使われます。
玄関はまさに和風のデザインです。
日本の古くからのデザインですが、家と外部との接点に風格をあたえる大切な要素になっています。
玄関扉を開けると吹き抜けの土間になっています。
奥の扉の先にはクロークがあり通用口へとつながっています
1階はご両親の家になっています。
玄関土間に面してリビングダイニングがあり、キッチンとの間はエアコンを組み込んだ多機能の収納家具で
緩やかに隔たれています。
リビングダイニングの隣には畳室があり、襖を引きこむと大きなつながった空間になります。
写真は、キッチンに設置された長さ3mのシステムキッチンと、ご趣味の写真やカメラなど収納できる書斎です。
洗面脱衣室とトイレは、広くて収納が多いバリアフリーのスペースになっています。
2階は息子さんご夫婦の家になっています。
2階に上がる階段の踊り場から玄関土間を見た様子です。
吹き抜けの上部には3つの球形照明があり、空間にアクセントを与えています。
2階はシンプルなモダンな空間で構成されています。
20畳の勾配天井のLDKは、サンルームと一体感を持たせたわくわくする部屋になっています。
キッチンはIKEAの製品です。
下の写真は寝室からサンルーム越しにLDKを見たところです。
ピンクに塗られた部屋は、将来子供室になる予定です。
サンルームは、ウエスタンレッドシダーの板張りの空間です。
ガラス天井には、夏季は発泡スチロール板の日よけが取り付けられ、
冬になると日よけは外され温かな日光が差し込みます。
廊下からもサンルームに入れます。
洗面脱衣室は濃いブルーがアクセントの部屋になっています。
廊下に面したは部屋の扉は、それぞれ異なる色が使われています。
M家住宅は家全体を暖める電気式蓄熱暖房設備が採用されています。
この家の建設には半年かかりました。
建設中の仮住まいとして使われたのは、敷地内にあった作業用の建物でした。
母屋解体に先だって、内部を改装し、キッチンやシャワールーム、トイレなどが完備した宿泊できる家にしました。
風格のある母屋に建て替えることに加え、隣接する建物の改装、使用していなかった井戸の再利用など、
敷地内全体の環境を整備することができました。