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麦工房ブログ

2013年09月 アーカイブ

サービス付き高齢者向け住宅「萩まち荘」はツーバイフォー工法(木造枠組壁工法)で
つくられています。
この工法は、一般的に見て、木製軸組工法(在来工法)よりも安全であると、
私たちは考えています。

群馬県でこの構造の建物をメインに設計している事務所は、
私たちだけなので、この機会にご説明いたします。

在来工法とツーバイフォーの構造

柱と梁、そして筋違い(すじかい)により構成される在来工法(木製軸組工法)と異なり、
枠組壁工法は、木製の壁パネルを作り組み立てていく工法です。

在来工法がマッチ棒で作られた箱としますと、
四方がボール紙でできた箱のような構造体がツーバイフォーです。

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(朝日新聞より)


地震に対する強さ

マグニチュード7.2、震度7の阪神淡路大震災では、
ツーバイフォー住宅約8000棟のうち、全壊はゼロ、地盤液状化による半壊が2棟、
また、内部の床のねじれ、不陸の発生した建物は16棟あるものの、
そのままの居住に支障がない状態でした。
(日本ツーバイフォー建築協会 震災被害程度調査報告による)


2011年の東北地方太平洋沖地震のとき、私たちの設計したツーバイフォーの建物では
その安全性が、検証されました。
一軒の家も、棚から物が落ちることもなく安心していられたとのことです。

これは、地震力が建物に加わっても、
構造の一箇所に力が集中しないため、強いからです。

また、施工面からも、枠組壁工法では構造材や釘、金物のサイズ、
施工方法・使用箇所について、細かく規定されています。

そのため、まじめな施工業者であれば、規定に忠実に施工することで、
安定した構造強度が得られることになります。


火災に対する安全性

損害保険各社は、在来工法より焼損する可能性が低いとして、
割安な保険料を設定しています。

ある大手損保会社では、東京墨田区などではツーバイフォー住宅の保険料は
在来工法の木造(木製サイディング張り)の建物が36,600円なのに対して
17,600円と半分以下になっています。(平成18年12月10朝日新聞記事から)

なぜかと言うと、壁や床の両側に合板と石膏ボードが張られているため
『ファイヤーストップ構造』になり、空気の流れを遮断し、
火が燃え広がるのを食い止めます。

また、床や壁の内部は床根太、枠組材などが一定間隔で組まれているため、
防火上の区画がいつも作られている構造にり、火災の進行が遅く、
初期消火の可能性が高くなります。


建物のデザイン性

枠組壁工法は壁を多く作らなければいけないため、
設計の自由度がないと言う話をたまに耳にしますが、
耐力壁をバランスよく配置し、窓の開口部は一定のルールに基づいていれば
自由度を阻害する要因にはならないと思います。

具体的には一箇所の開口部の幅が4mまで、
構造区画の1壁面にあけられる開口幅は3/4までです。

私たちは、壁量の多いツーバイフォーならでは特徴を利用し、
建物のファザードに重厚感を持たせています。




サービス付き高齢者向け住宅「萩まち荘」のフレーミング工事の様子です。

hagimachi%20tatekata2-0.jpg敷地の南側、1階のフレーミング工事です。
すでに完了した北側部分はブルーシートで覆われています。

hagimachi%20tatekata2-0-1.jpg2階の壁が立ち上がりました。
鉄骨のエレベータシャフトは隠れてしまいました。

hagimachi%20tatekata2-0-2.jpg道路側の壁ができました。
屋根の軒部分が作られています。
出窓の庇と霧除けが付くことで
表情豊かな建物になる予定です。

hagimachi%20tatekata2-1.jpg前面道路の西側から撮った写真です。
2階奥のハイサイドライト(高窓)が見えます。

hagimachi%20tatekata2-2.jpg前面道路東側からの様子です。
右がデザインスタジオ麦工房です。
萩まち荘が完成した後に
デイサービスに改造されます。


hagimachi%20tatekata2-3.jpg萩まち荘1階の食堂の様子です。
高い天井の部屋です。
掃きだし窓には障子が付くことになっています。
前の道路の喧騒が感じられない
落ちついた部屋になります。